今週のごあいさつ

罪悪感のない時間

ちょっと先週の続きみたいな始まり方になりますが、私の師僧が、「命というのはあなたに与えられた時間です。だからいい生き方をするということは、いい時間の使い方をするということと同じです。」とよく言われていました。

 さて、私たちは普段生活をしているだけでも、色々なストレスを感じながら生きています。

そこで、ストレスを溜めすぎてしまわないように人それぞれストレス解消を持っていたりします。

 例えば、美味しいものを食べるとか、好きなものにお金を使うとか、趣味に没頭するとか。

 これについて最近気がついたのですが、ストレス解消法って、制限を開放することなんじゃないかということです。

 どういうことかというと、普段太らないように気を付けている人は、カロリーや口にするものを気にしながら暮らしています。つまり食に対して制限をかけている。その制限自体が実はストレスになるんじゃないかと思います。

 それを、「今日だけはカロリーや栄養を気にせずに、好きなだけ好きなものを食べる!」と思って制限を開放する。それがストレスの解消になる、ということです。

 買い物も同じで、普段は節約、無駄なお金は使わないようにして制限をする。それを時々解放してあげて、欲しいものを買ったり、パーっと散財することでストレスを解消する。

 自分で制限をかけることでストレスになってしまうというのもジレンマの起こるところですが、かといって何でも無制限にしていたらバランスが崩れて無茶苦茶になってしまいますから、過度な義務化にならないよう上手に制限するということが大事なんでしょうね。

 食べ物やお金の制限というのは本人の意識次第というところがありますが、けっこう無意識に制限をかけていて、なおかつすごくストレスになるものがあります。

 それが時間です。何時までに出発しないといけない。何日までにこれを仕上げなければいけない。そんな時間に対する制限が日常の中でひっきりなしにあります。

 うちは小さな子どもが3人いるのですが、登校・登園させるのに夫婦そろって毎朝すごくカリカリして、声を荒げることもしばしばです。

 仕事にしても、やるべきことがたまっていると、ずっと時間に追われているような気になってしまいます。時間に対するストレスは現代人ならだれもが感じているのではないでしょうか。

 ただ厄介なのが、食べ物やお金と違って、時間ストレスの解放っていうのはけっこう難しいのです。単純に自由な時間を使えればストレス解消になるかというと、そんなにうまくいくわけではありません。

 せっかく休みになっても疲れがたまってダラダラ過ごして、あっという間に時間がたってしまったりすると、あんまりストレスは減りませんよね。

 あとは少し時間があっても、ついついスマホの画面ばかり見てしまって時間を浪費してしまう。時間の制限からの解放ってけっこう難しいと思うのです。

 それで、最近自分なりに、こういう時間の使い方が出来たらいいなと思ったことがあって、一つは軽くでいいので運動をすること。やっぱり体を動かして全身に血液を回すとやる気も起きやすいし、体のためにもいいです。

 もう一つは、普段自分がやっていることを丁寧に行うこと。私の場合だと、朝の勤行で唱えるお経を、いつもよりゆっくり唱えるようにしたりします。時間に追われた感覚でいると、作業みたいに効率よく終わらせようとしてしまうので、意識的にそれを避けようという意図で、最近いつもよりゆっくりと唱えています。これがけっこういいんですよね。

 日常でも、仕事をいつもより丁寧に行うとか、料理をするのにひと手間加えるとかやってみる。あえて、それをすることによって、かえって時間に追われる状態から冷静になれるのではないかと思います。

 よく、美味しいけどカロリーの少ないものを食べると、「罪悪感なく食べられる」と言ったりしますが、運動や、丁寧に何かを行う時間というのも、罪悪感のない時間の使い方になるんじゃないでしょうか。

 そういった積み重ねが、よい時間の使い方。つまりはよい生き方になるのだと思います。

 今週はいつもより丁寧に、を心掛けてみてはどうでしょう。

今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。

合掌