今週のごあいさつ
正しい言葉の4条件
先日、人類の進化を解説する動画を見ていたら(ちょっと興味があったもので)、我々人類と、現代まで生き残れなかった人類との大きな差は、我々人類の祖先が脳の突然変異で言葉をより複雑に使えるようになったことだ、と言っていました。
人間は言葉によって、正確に物事を伝達したり、自分たちの物語を共有し合って大きな社会を作り、進化してきたということでした。
普段は当たり前におしゃべりをしていますが、言葉を使うということはとても重要なことなのだなと思いました。
ただ、生きていると言葉によるトラブルも多々あります。
先代院主の書いた日めくりカレンダーに、「言葉が乱れる時、人は傷つき、家庭は不和となり、社会は乱れる」と書いてあります。
仏教でも言葉に関する戒めは多く、「ウソをついてはいけない、悪口を言ってはいけない、飾り立てた言葉や二枚舌を使ってはいけない」など、言葉への注意が強く言われています。
人は言葉によって進化してきたけれど、正しい言葉を使わないと安らかな気持ちで日々を過ごすことは難しくなります。
では、正しい言葉の使い方とはどういうものでしょう?
先日、お釈迦様が説いた、言葉に関する教えを見つけました。それがこの4つのものです。
- 自分も他者も傷つけることのない善い言葉
- 智慧に基づいた正しい言葉
- 人を悪く言わないあたたかい言葉
- 嘘のない、真実だけの言葉
以上が善い言葉、利益(りやく)ある言葉の4つの条件です。
一つ一つをとって、こういう意味です、という解説はしませんが、自分の使う言葉が、これらの条件を満たしているか、見つめなおす参考になればなと思います。
あからさまな罵詈雑言を言わなくても、例えば自分は良いことをしているつもりで、誰かを説得させようとしたとき、その言葉に嘘が混じっていないか。
誰かと自分を比べて、自分の正しさを主張しようとしていないか。
自分とは考えの違う人を受け入れる寛容さはあるか。きつい言葉を使って人も自分も傷つけていないか。言葉の中に押しつけがましくない謙虚さを持っているか。
仏教は「我」を否定します。
だけど人は言葉を使う時、どうしても言葉の中に「我」が含まれてしまいます。
その「我」が大きすぎるほど仏教的には正しい言葉とは言えなくなります。
もう一つ、院主の日めくりの言葉を引用します。
「一言でもいい 人の心をあたためる言葉を使い 一句でもいい 人の魂をよみがえらせる言葉を出したい」
言葉なしには生きられないのなら、こういうことばを使っていきたいものです。
今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。
合掌