今週のごあいさつ
自灯明・法灯明
毎日暑いですね。毎年8月も終わりになるともう少し暑さが落ち着いているような気がするのですが今年は容赦ないですね。「残暑」ってこういう暑さに使う言葉じゃないですよね。そろそろ暦に合わせて言葉を選ぶんじゃなくて、実際の気温を見て表現をすればいいのにと思うのですが。まぁだからといって暑さが和らぐわけでもないのですが。
さて、仏教をひらいたお釈迦様の遺言があるってご存知ですか?
お釈迦様が亡くなる際、お釈迦様の弟子が「これから自分たちは何をよりどころにしていけばよいのでしょう?」と聞いたことに対して答えた言葉がそれです。
「自らを灯明とし、自らをよりどころとしなさい。」それに続いて、お釈迦様の説いた教えを灯明とし、よりどころにしなさい。とも言います。
これを仏教用語で「自灯明・法灯明」と言います。
後者の法灯明、お釈迦様の教えは現代では様々な本にわかりやすく書いてあります。読んでみるとどう生きるべきかのヒントがたくさん書かれているので、色々と読んでみることをおススメします。まさに生きるためのよりどころになると思います。
そしてもう一方の「自らを灯明とし、自らをよりどころにする」ということですが、「自分で考えて、自分の責任で行動しなさい。」と言い換えることも出来ると思います。
これってすごく大事なことですよね。自分のことで振り返ってみても、自分の頭で考えているようなつもりでも、実はそうじゃないことってたくさんあります。
誰かからこう言われたからとか、こうする決まりだからとか、もとからこういうものだと思っていたとか、自分の頭で考えたことではなく、受け取ったものを疑いなく鵜呑みにしていたということはいっぱいあるんじゃないでしょうか。
人って自分が最初に学んだことを一番正しいと思い込む癖があると読んだこともあります。例えば料理の仕方なんかも、間違った調理法を最初に覚えてしまうと、その他の調理法は、たとえそちらの方が正しい調理法でも素直に受け入れることが出来なくなってしまうようです。そういうことって自分自身でもよくありますよね。どれだけ合理的な方法があっても意固地に自分のやり方を押し通そうとしたりすること。
こういうことも結局自分の頭で考えていないから起こる事だったりするわけです。
だから自分の頭で考えることというのはとても大事なことなのです。
そして自分の責任で行動すること。誰かに(上の人から)言われたからやる、慣例に倣ってやる。日本という国はこういうことから外れると生きにくい社会ですよね。だけどせめて自分のことくらいは自分の責任でやりたいものです。
枠からはみ出すことはよしとしないのに、「自由」ということはやたらと尊重する今の日本。
しかし本当に自由を求めるのならば「自分で考えて、自分の責任で行動」しないと自由とは言えませんよね。
だけどこれをやるには大の大人でも難しい。なぜかと言えば、そういうことを教えてもらっていないからです。学校でも職場でも右へならえのやり方なら教えてくれるけど、自分の頭で考えるやりかたは教えてくれない。
だから「自灯明・法灯明」という言葉を授かっているお寺が、こういうことはどんどん発信していかなければいけないんだろうと思います。それこそが今後お寺がある意義になってくるのだと。少しずつそういう機会を作っていきますので、その時はぜひご参加ください。
今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。
合掌