今週のごあいさつ

呪について

いきなり何のカミングアウト?と思われるかもしれませんが、高校時代、私はまぁモテませんでした。いや、生きてきた中でモテた時期なんてないので「高校時代」と限定する必要もないのですが、そのモテなかった高校時代にモテる同級生からどうやったらモテるのかのテクニックを聞いたことがあります。

そのテクニックがどういうものだったかというと、「気になる異性に、第三者から○○君があなたのことを好きらしいよ。と伝えてもらう。」というやり方でした。

こうしておくと相手が自分のことを意識しだすようになるので、頃合いを見計らって接触すれば、うまくいけば付き合うことが出来る。というものでした。

なるほどなぁとその時思ったのですが、幸いというか私はそのような手段をとることもなく、相変わらずモテない高校ライフを送ったのですが、今、僧侶として修行もし勉強もする中でふと、あのモテるためのテクニックは異性に「呪」をかけていたんだな、と気がつきました。

「呪」にかける 「のろい」にかけるではなく「じゅ」にかけると読みます。

「呪」とは何か。呪とは言葉によって人の心の向きを変えること。人の心を縛ることをいいます。言ってみれば言葉というものは物事を規定するために使うので、言葉全てが呪であると言えるのですが、この場合は特に人に強く働きかける言葉、「好き」というのがそれですが、「あの人があなたのことを好きらしい」と言うことによって今まで意識をしなかった人に意識を向けさせたわけです。

だから厳密にいえば私を意識させるのではなく、「好き」という言葉に意識をさせるということになります。そういうことを「呪」にかけると言います。

これ、逆でも使えますね。「○○さんがあなたのことを嫌いって言っていたよ。」と誰かに伝えれば、その人は私のことを良く思わなくなるでしょう。

この場合は「嫌い」という言葉が呪になって意識を変えさせたことになります。               

それで、この話の一番怖いところは、私自身がその人のことを好きとか嫌いとか思っていなくっても、第三者が「○○さんがあなたのことを(好き・嫌い)って言ってたよ」というだけでその人の意識がこっちに向いてしまう。というところにあります。

だから本当にどう思っているかは別として、一度言葉として出してしまうと物事が規定されてしまう。というところが呪としての言葉の怖いところです。

皆さんも経験あるんじゃないかと思いますが、第三者を通して生まれた誤解ってなかなか解きづらかったりしませんか?

もちろん直接私から相手に、好き・嫌いと言えばより強く相手に伝わるのでしょうが、その場合はその場で各々の気持ちを伝えられるので決着がつきやすくなります。

でも自分のあずかり知らぬところで誰かが自分の名前を出してアレコレ言っていたとしたら…

そしてこういうことは世の中にけっこうあるわけです。言葉って怖いですよね。

「呪」を操る人を「呪者(じゅしゃ)」と言います。言葉を使う以上、人間だれしも呪者になります。だからこそ言葉の使い方にはきをつけないといけません。

「人を呪わば穴二つ」と言います。呪を使えばその呪はいつか自分にも返ってきます。だから言葉は正しく使いましょう。

そして、第三者に想いを伝えてもらうより、勇気を出して自分で伝えた方が愛の言葉は伝わると思います。

以上、愛の伝道師 裕全がお伝えしました。

今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。

合掌