今週のごあいさつ
正しい見方って?
冷たい雨が降るたびに、気温が少しずつ下がっていき、季節が冬に向かって動いているんだなということが目に見えて分かります。日が暮れるのが早くなって、なんだか物寂しい気持ちになるのが、すごく好きではないのですが、ちょっと懐かしいような気がします。
驚くほどコロナウイルスの感染が納まっていて、ほんとに大丈夫なんだろうかと半信半疑になりつつも、できればこのまま無事に年が明けれくれたらいいのに、と淡い期待を誰もが抱いているのではないでしょうか。お正月の行事もいつも通り行えるといいなと切に願っております。
さて、なんでもいいのですが例えば、「この絵とこの絵、どちらが素晴らしいか」とか「この服とこの服、どちらが似合うか」だとか、あるいは「料理の盛り付け、どちらが美味しそうに見えるか」といったことで、人はしばしば意見が食い違い、口論になったりします。
そういうことについて、身もふたもない言い方をしてしまえば、そんなことに正解なんてないのです。まぁ明らかに達者な絵と稚拙な絵を比べたり、どう見たって似合っていない服だったりする場合もありますが、それだって選ぶ本人がいいと言えばいいんです。
結局はその人がそれをどう見て、どう感じるのかという話なので、じつは正しい・間違っているで議論することは、あんまり意味がないのです。
そもそも人間の見える範囲というのはごくごく限られているのですね。例えばよく耳にする「赤外線」とか「紫外線」。これらは人の目には見えませんが常に空から降り注がれています。そしてそれらが見える動物や昆虫も世の中には存在していて、そういった動物たちの見える景色というのは人間とは違ったものになります。
あるいは目に見える色にしたって、これはちょっと聞きかじっただけなので正確な情報なのかちょっと自信がないのですが、人間の目で感知できる画素数というのは現代のスマホよりもずっと少ないらしいです。そもそも人の感知できる色はRGB(red・green・blue)の三色で、そういう乏しい情報を脳が補正して私たちが見えているような情景にするのだそうです。(間違っていたらすみません)
だから私たちが見ている景色が決して世界のありのままの姿ではなく、あくまで人間にはこのように見えている、というだけの話なのですね。
言ってみれば脳が見せている世界といっても過言ではないわけです。
そして脳は目で見たものを補正するだけでなく、いろんなことを考える器官でもあります。だから目で見えたものを補正して、なおかつそこに、自分の都合のいい見せ方をする。好きなものは好ましく見せるし、嫌いなものは嫌悪のまなざしで見る。
だから冒頭の「どちらの方がいいか」といった言い争いは、結局なんの話かというと「私の見方の方が正しい」ということを主張し合っているだけ、とも言えるわけです。だから正解なんてないし、じつはあんまり意味がない。
もちろん大多数が好む見方だとか、少数の見方の中にある「的を捉えた視点」なんていうのもあるのですが、それもやっぱり何かの都合に照らし合わせた見方なのだと思います。
それで、何が言いたいのかというと、こういうことを考えてみると、自分の見えているものは自分が思った以上に不安定なもので、それを正しいと思い込みすぎないように気を付けておいたほうがいいんじゃないか、ということです。
まぁそのようにしか見えないのだから(頑張っても肉眼で紫外線も赤外線もみれませんし)仕方がないのですが、あんまりムキになって自分の見え方を主張しても、お互い苦しいだけだったりしますので。
ということで、僕が気に入ってかぶっていた帽子を、妻から「似合わない」と言われたことに対する遠回しの反論を、もっともらしい言葉を並べて書いてみました!
お付き合いいただきありがとうございます。
今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。
合掌