今週のごあいさつ
忘れるのを忘れないで
お彼岸も過ぎ3月も終わりに近づきました。桜があちこちで咲き始めているようで、今年は少し花の時期が早いのかもしれませんね。このところ雨の日が多いですが、晴れの日が続くと一気に咲きそうです。
年度末なので何かと慌ただしいですが、満開の桜は気持ちに余裕をもって眺めたいものです。
さて、先週お彼岸について書いたのですが、お盆やお彼岸という供養をする時期があるおかげで、「そういう時期だからお墓参りしようか。」という気持ちになるもので、これが「いつでも自由にお参りできる。」だとかえってお参りする機会を逃すんじゃないか。といったことを書きました。
それで、書いた後に気がついたのですが、その時期を春分と秋分の日にしたというのがすごくいいアイデアだなと思ったのです。
春分の日と秋分の日というのは、昼夜の長さがほぼ同じ日で、毎年必ずおとずれます。この日をお彼岸にすることで、「あ、今年もお彼岸が来たな。」と思い出せますよね。
これが〇月〇日、という日にちの決め方をすると、忘れてしまったり、長く続けられなかったりするんじゃないかと思うのです。
それを人の都合で決めた日取りではなく、自然の現象として毎年おとずれる日をお彼岸とすることで、忘れにくいし、長く続けやすくなったんじゃないかと思います。
あと、それが1日だけじゃなく、前後に3日間をつけて1週間にしたことも、余裕があっていいですよね。
こういうところに昔の人の「大事なことは忘れにくく、継続しやすい仕組みを作ろう」という知恵を感じられます。
私の話になりますが、若い頃というのは無暗に自分に自信があって、謎の万能感を持っていました。頭は常にフル回転していて、物事を忘れず、アイデアは湯水のごとく湧き、一度決めたことを継続する力と忍耐力もある。
そんな幻想を持っていたのですが、長く生きるほど幻想のメッキが剥がれてきて、忘れる、ミスする、続かない。と思ったよりもうまくいかないことがたくさんありました。
なのでそのたびに少しづつ忘れないための工夫や続けるための工夫をするようになりました。
そういう積み上げをしていくうちに、忘れていても思い出せるようにするきっかけを作ったり、無理なく続けられる仕組みを作ったりして、結果的には思いあがってミスをするということは少なくなったんじゃないかなと思っています。
本当は若い時のように万能感をもってグングン進めたら気持ちいいのかもしれませんが、「自分は忘れるし、ミスするし、続けられないよね。」というところから始めた方が、私の場合はうまくいっています。
忘れるのを 忘れなければ 忘れない。
いい句が出来ました。 合掌