今週のごあいさつ
「寒いから」から「寒いけど」へ
ちょっと前に「足の指の爪が伸びているな」と靴下から足袋に履き替えるときに思ったまま、それからしばらくの間、なんとなくそれを放置しているというか、足を見るたびに「そろそろ切らないとな」と思いつつも爪を切らないでいる期間がありました。
では、なんで切らなかったのかというと、「寒いから素足になるのが嫌だったから」です。
こうして書いてみると、なんという横着なことだと自分でも思うのですが、これからの時期、色んなことにこの「寒いから」という理由がついてまわるような気がします。
寒いから布団から出られない。寒いから外に出るのが億劫だ。寒いから習慣にしようとしていた運動をサボってしまう。
などなど、言い出したらきりがないほど、何かをやらない言い訳に、「寒いから」が出てきます。
個人的な、あるいは坊主頭的には、これからの時期、散髪することがとにかく億劫になります。散髪は普段から自分でバリカンを使って行うのですが、その場合、裸で洗面台に新聞紙を敷いて頭を刈ります。寒くない時期であればなんということはないのですが、寒い時期にはこの散髪の時間が嫌で仕方ないのです。
まあ、よほど寒ければ暖房器具などを脱衣所に入れて行えばいいのですが、その手間暇を考えると、まあなしでもいいかと思って、NO暖房で散髪を始めて、やっぱり寒くて後悔する。
といった感じで、冬になって寒くなると、今まで出来ていたことがスムーズにやろうと思えなくなります。
山陰だとこの時期天気が悪い日も増えるので、気持ち的にも上がってこない。なかなか難儀なものです。
それで、よくよく気持ちを考えてみると、「寒いからいやだ」というよりも、どうもむやみに「寒さを怖がっている」節があるようなのです。
個人的に寒さに弱いからなのか、それとも本能的な何かなのかはわかりませんが、自分を寒い環境に置くことを、どうも怖がっているような気がしています。
とはいえ、世界にはもっと寒い場所で暮らす人もいるので、こちらの寒さなんてたかがしれてはいるいのですが、それでも冬はどうにも心身ともに鈍くなるようです。
それで、実はその対処法を持っていて、確かここでも前に書いた覚えがあるのですが、それが何かというと、「寒いけどやる」ということです。
上にも書きましたが、普段は寒いことを「むやみに怖がって」います。「むやみに怖がる」ということは、そのことから目をそらしていることでもあります。
これは、例えばやらなくちゃいけないことをずっと先延ばしにしていて、見て見ぬふりをしている状態とも似ているのですが、目をそらしていると、それが実際よりも大きく、怖く感じてしまうのです。
そうなると、実際の気温に関わらず、とにかく寒い状態を避けようと思いますし、先延ばしにしていることについては、まず何からすればよいのかを考えないまま、さらに先延ばしにしてしまいます。
だからそういう時の対処法として、まずは「怖がらずに見る」。ちゃんと見てしまえば、「たかがこれくらいの寒さ」になりますし、「そうか、これから手を付ければいいのか」とわかります。
そうすれば「寒いけどやろう」と思えるようになるのです。
ということで、先日ようやく足の爪を切りました。切ってしまえば、こんな簡単なことだったのかと思いました。
嫌なこと、苦手なことは自分で勝手にそれに対する怖さを、実際よりも大きくしてしまうというお話でした。
自分に言い聞かせるようなつもりで書きましたが、これからどんどん寒くなります。体調に気を付けつつも、寒さをあまり怖がりすぎないように。
合掌