今週のごあいさつ

瞑想のやり方

仏教ではその始まりの頃から瞑想することを修行の中心に据え、悟りへ向かう道としました。近年この瞑想の科学的な効果が実証され、宗教的な行為を越えて世界中で瞑想が行われているようです。アメリカのGoogleも仕事を始める前に1分間瞑想するようにしているそうです。そうすることで仕事の効率が上がるということです。

「悟りを開く」「苦しみから脱する」為に瞑想をするというと、どうしても身近に感じにくいと思いますが、瞑想はリラックスしたり仕事の効率を上げることにも効果があるようなので、そういう目的をもって日常的に瞑想を行う人が増えているようです。

ということで今週は日常的に行える簡単な瞑想の仕方を紹介します。

瞑想の科学的に実証されている効果については書ききれないほどあるので興味がある方は調べてみてください。

色々な効果はありますが意識してみてもらいたいのは、瞑想によって自分の気持ちを観察する習慣をつけてもらえればいいなと思っています。

先々週まで書いていた「無我」や「無常」の話にしても、自分が「我」であり「常」であるという錯覚を起こすことによって、自分で苦しみを作ってしまうということだったので、そんなときに自分を観察する習慣を作っていると、「今自分は我を通そうとして腹をたてているんだな」とか「変わりたくないと無意識に思っているんじゃないかな」というふうに自分の気持ちが何に引っかかっているのかを気づく手助けになると思います。

人って不思議なもので他人から相談を受けた場合などは的確なアドバイスができるのに、いざ自分の悩みになると冷静な判断が出来なくなってしまったりします。

それだけ人間は自分のことを客観的に見ることが苦手な生き物なのでしょう。

瞑想はそのような自分を客観視する訓練になります。訓練を積み重ねれば困難や悩みと対したときに、苦しみの渦に巻き込まれずに対処がしやすくなります。

ということで以下が基本的な瞑想のやり方になります。

まず座る。座るのは胡坐や半伽座(胡坐の右足を左のももにのせる座り方)でもいいですし、座りにくい人は椅子に座ってもいいです。そのかわり背筋を伸ばしてください。背が曲がっているとうまく呼吸が出来ません。

良い姿勢は、胸を張って顎を引く、その時に耳と肩が一直線になっているのが理想です。おへその下あたりに意識して力を入れるとグッと背筋が伸びます。

目は閉じても開けてもいいですが、開ける場合はぱっちり開くのではなくぼんやり開けるような感じで真っすぐではなくやや下方に視線を落とします。そしてキョロキョロせずに一点を見るようにしてください。

そして呼吸に集中する。息が出たり入ったりすることを観察してください。出来れば鼻から吸って鼻から吐く。難しかったら口から吐いてもいいです。

複式呼吸が理想なので、慣れないうちはおなかに手を当てて、息を吸うたびにおなかが膨らむかどうかを意識してみてください。

そして吸うことよりも吐くことに時間をかける。3秒吸ったら5秒吐くような感じで。呼吸の秒数、または回数をカウントしながら瞑想するのもはじめのうちはやりやすいかもしれません。

慣れないうちは息苦しくなることもあります。そういう時は息が詰まっているので一度全部吐ききるか、思いっきり吸い込むかをするとまたスムーズに呼吸ができます。

そして大事なのは呼吸をコントロールしようとするのではなく、息の出入りを観察することです。呼吸は普段、意識して行うものではありません。自然とやっているものです。その自然の呼吸を観察しているようなつもりでやってみてください。

そして瞑想していると必ず雑念がわきます。でも雑念がわいても構いません。そのかわり雑念に引っ張られているなと感じたらまた呼吸に意識を向けてください。

瞑想は雑念のない状態をキープし続けることだと思い込みすぎていると瞑想は続けられません。だから気がそれたら戻す。その訓練をしてください。そうすれば普段の生活の中で感情に気持ちが引っ張られそうなときも、その状態に気がついて気持ちをニュートラルに戻すことができます。

さて、この瞑想ですが初めは3分くらいから始めて、長く出来るようになれば5分、10分、20分と伸ばしてもらえればいいです。あまり最初からハードルを上げると継続できなくなるので毎日3分の瞑想をまずは1,2週間続けてみるのがいいと思います。

できれば朝のうちに、例えば歯磨きをしたあと3分間座ってみるといった形でやってみてください。

そして瞑想に慣れてきたら普段の生活の中で気持ちが揺れそうなときに、瞑想の応用で深い呼吸を2,3度してみてください。それだけで気持ちが整えられますので。

書いて説明をするとやっぱり長くなっちゃいますね。いずれ瞑想体験会なども開いてみようと思っています。ただ今はちょっと境内の工事が続いているのでなかなか静かな環境が整わずご案内が出来ませんが、落ち着いたらまた発信しますので興味のある方はご参加ください。

今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。

合掌