今週のごあいさつ

まず動こう

子どもと生活を共にする中で、「あ、これはあんまり意味がないな」とか、もっと言えば「親がこういう態度なのは良くないな」と感じることが多々あるのですが、その中の一つに「○○しなさい」という時。ご飯を食べなさいでもお片づけをしなさいでもいいのですが、その「○○しなさい」と子どもにいう時に、親である自分が別のことをしながら口だけで子どもに指示をしても子どもはまず言うことを聞かないということがあります。

慌ただしい朝、自分の用意もしつつ子どもにあれしろこれしろと言っても子どもは言うことを聞きません。それでイライラすることもあります。ましてスマホを見ながら「はやくお片づけしなさい」と言っても動くはずがない。

じゃあどうすれば子どもが動くのかと言えば、まず親が動くこと。ご飯を口にもっていくなり、片付けの箱をもってきて子どもにおもちゃを持たせて片付けを誘導するなり、そういったことをやらなければ口だけで言っても動くことはありません。

もう少し大きくなれば子どもも「自分でこれをやらなければ」という意志も出てくるので口で言うだけである程度は動くようになるのでしょうが、それでも親がそれに対してどれだけ本気で言っているのかというのはちゃんと見抜かれるでしょうから、いつだってこちらが動く姿勢でいなければならないのだと思います。まぁそれが面倒なのでついつい口だけで済まそうとしてしまうのですけどね。

さて、こういったことは何も子どもに対してだけのことではなく、人が人を動かそうと思うのであればやはり言う側の姿勢がどういうものであるかが大事になります。

そういうことに関する格言もあります。

例えば、「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」

山本五十六(やまもと いそろく)さんという軍人さんの言葉です。

これすごい言葉ですよね。人というものをよく理解している人の言葉だと思います。

軍人さんって鉄拳制裁で無理矢理言うことを聞かせていたようなイメージを持っていましたが、こういう思想の方もちゃんといたのですね。この言葉にはまだ続きがあるので興味があれば調べてみてください。

ここでも「言う」ことよりも先に「やってみせる」ということが来ています。子どもを育てるのと同じように、まずはこちらの動く姿勢が大事なんだということだと思います。そして「言うだけじゃダメだよ」という教訓にもなりますね。

「人間は何を言ったかではなく、何をやったかでその人の価値は決まる」という言葉も目にしたことがあります。

口で大きなことを言っていても行動が伴わないようであれば何も成さないし人を動かすことも出来ない。「まず動く」というのが大切なんですよね。

最近、小規模ですが私が学んだ仏教のことを発表する仏教勉強会を行っています。その中で2回にわたって「仏教の実践」というテーマで話をしました。

仏教というとどうしても難しい教えが先に立ち、勉強して知識を蓄えるものだと考えてしまいがちですが、仏教で一番大切なことは実践をすること。

実践の内容は八正道や六波羅蜜(こちらも紹介すると長くなるので機会を見てまたご説明します)。

これらもただ言葉として知っておくのではなく実践をして初めて意味のあることになります。

ですからずっと昔から口じゃなく動くことを先にしなさいね、ということは言われ続けているわけです。

動くのって面倒です。特にこれから寒くなるにしたがって動くことがどんどん億劫になります。だけど動かなきゃ何もできないよ、というのは頭の片隅にでも入れておかないといざという時に腰がどんどん重たくなります。

そして口うるさいのに腰が重くてなかなか動かないという親の姿は子どもにはあまり見せたく。

だから「まず動こう」は肝に銘じておこうと思っています。

皆さんもフットワークは軽く、口はほどほどに重く、少しでいいので意識してみてはどうでしょう。

今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。

合掌