今週のごあいさつ

ガンバレって言っている

お寺では年明けから3月の中頃まで受験の合格祈願を多く受け付けます。大学受験、高校受験、志望校に向けて努力してきた成果が試される時です。まずは自分の努力が一番。そして自分の力が十分に発揮されるように最後の一押しとして合格祈願のご祈祷をします。

もうすぐ高校受験の試験日です。みなさん頑張ってください!

ご祈願というのはお坊さんが祈ればその人のお願いがすべて叶うというわけではなく、先にも書いたようにまずは自分自身の努力というのが大切です。

ご祈祷のことを「加持祈祷」とも言いますが、加持とは自分から仏さまにはたらきかける「加」と、仏さまから私たちへのはたらきかけである「持」が合わさって「加持」となり大きな力を発揮するというものです。

そしてこの仏様へのはたらきかけをするためにお坊さんは普段から、はたらきかけをするに相応しい身であるよう修練を積みます。自分の欲望に突き動かされながらの生き方をしているのに、お願い事をかなえて欲しい時だけ祈るというのではあまりにも虫が良すぎますもんね。

そのようにしてお参りに来られた方の想いを請け負ってご祈願をするのですが、ではお坊さんだけが修練を積んで、お参りに来られた方は無責任に自分の願い事をお願いすればいいのかと言えばそういうわけでもなく、やはりその方たちも願いをかなえるためにはそれ相応の努力をする必要があります。

まったく勉強をしていないのに高いレベルの学校に合格したいといっても祈るだけでは無理ですし、経営努力もせずに商売がうまくいくように祈っても業績があがるわけではないのです。

自分から目標へのはたらきかけがあり、ただそれ以上の自分ではどうにもならない縁だとか運といったものに対し、後はすべてをあずけます。といった心持でご祈祷を受けて頂くのがいいと思っています。

そしてそういった方たちと仏さまの間に入って祈るのがご祈祷をするお坊さんの務めだと思っています。

ただ、これは本義ではないのですが、私たちお坊さんがご祈祷をするのって応援することと似ているな、と最近思っています。

受験をする人たちに、病気を治したいと願う人たちに、悩みを解決したいと思う人たちに、我々は応援をしているのだなと。

ご祈祷するときは声を張って、太鼓をたたいて祈りますが、やってることは応援団の応援と同じですもんね。

だからご祈祷をするお坊さんというのはお参りに来られた方と仏さまとをつなぐ役目でもありつつ、実際に声を出して応援している人でもあるなと感じていて、そしてその感覚に近いなと思う歌があることに最近気がつきました。

それはTHE BLUE HEARTSの『人にやさしく』という歌で、それはこんな歌詞です。

「僕はいつでも 歌を歌う時は マイクロフォンの中から ガンバレって言っている 聞こえてほしい あなたにも ガンバレ!」

この歌のように直接的な応援ではありませんが、ご祈祷を受ける方の想いを請け負って祈るときには、やっぱり心の中で「ガンバレ!」と言っている気がします。

こちらの祈りが足らないこともありますが、少しでもお参りされる方の後押しになれば幸いです。

今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。

合掌