今週のごあいさつ
ムリとムラ あとムダ
5月なのに真夏日、という日があったり、昨日今日のような気温の低い雨の日があったりと、1週間のうちで気温差が10度以上ともなると、体がなかなか適応できませんね。
もういいかなと思って片付けた冬用の作務衣も、またタンスから引っ張り出して着なきゃいけなかったりと、着るものにもひと手間かかります。
真夏日も寒い日も、どちらも極端で、ちょうどいいっていうことが少なくなりましたね。
前にも書いたことがありますが、茶道を教えてくれた先生がよく、「ムリ・ムラ・ムダをなくしましょう」と言っていました。
お抹茶のお点前の話ですが、例えば左側にあるものを右手で取ろうとして、ムリに体をひねったり。集中しきれずに動きにムラのあるお点前をしたり。足のさばきがスムーズにいかず、バタバタとムダな動きをしたり。
こんなふうにムリ・ムラ・ムダがあるとお点前は崩れてしまいます。
ただこれは、お点前を一分の隙もない完璧なものにしなさいということではなく、ムリ・ムラ・ムダがあると動きが不自然な、ぎこちないものになるので、自分の点前にムリ・ムラ・ムダがないかをいつも意識しなさい、というふうな教えなのだと思います。
それで、このムリ・ムラ・ムダの考え方は、お茶だけじゃなく、日々の生活でも意識した方がいいなと最近また思うようになりました。
自分の中に何か引っかかるようなことがあって、でもそれをどう解決すればいいのか糸口が見つけられないようなとき。その時にはその悩みの中心にムリ・ムラ・ムダがないか、よく考えてみた方がいいです。
人からどう見られるかを気にしすぎてムリをしていないか。
何をするべきかの目的を見失ったまま、ムラのある行動をしていないか。
必要でもないし、たいしてやりたくもないことに、ムダな時間と労力を割いていないか。
日常を過ごしていると「これはこういうものだ」と深く考えないまま物事をそのまま受け取ってしまうことがあります。仕事でも生活でも、組織でも家庭でも。
だけど、何かがうまくいっていない、何かいびつだなと感じる場合は、どこかにムリ・ムラ・ムダが入り込んでいるものです。それもすごく自然に溶け込んで。
ですので、普段から注意深く日常に溶け込んでいる違和感に気が付かなければいけません。そのものさしとして、ムリ・ムラ・ムダというのは非常に有効だなと最近つくづく感じております。
お寺の行事の見直しなども、このものさしがとても役に立っています。
ただ、楽しみのような、あったほうがいいムリ・ムラ・ムダもあるので、すべてに目くじらをたてないように。
ムリもムラもムダもない遊びなんてつまらないですもんね。
今週も最後まで読んでいただきありがとうございました。 合掌